徳之島は3つの町からなる。その一つ、伊仙町に大きな木がある。
沖縄や鹿児島の離島ではよく見かけるガジュマルという木である。なかでも、伊仙町の阿権にあるこのガジュマルは、樹齢三百年を超えるといわれている。
十年間訪れることがなかったが、このたび初めて足を運んでみた。だが、幹がどのようになっているのかはよくわからなかった。それもそのはず、この木はある個人宅の敷地内に生えているという。
家のすぐ横にこれほどの大木があるのは、少し圧がありそうにも思える。だが、それをどう感じるかは、住んでいる人にしかわからない。
この木のそばに立っていると、妙に蚊が多く、体にまとわりつく。気のせいではない。もしかすると、ここには他の生き物も多く暮らしているのではないかと感じた。ときにはハブが現れることもあるのかもしれない。
それでもこの木からは、確かに歴史を感じる。屋久島の杉を思わせるような風格がある。
鹿児島の離島には、このように内地ではなかなか見られない自然の姿がある。古い木々や鍾乳洞、独特の動植物たち。その中に立つと、人は自然の存在感に静かに圧倒される。