最近、患者さんがマイナンバーカードを薬局に持参してくれる、いわゆるそのカードの利用率をあまり気にしていなかった。持参依頼の連呼は、間違いなくすべての来局患者にはしている。
持ってくる人は間違いなく持って来る。一方、作っていない人は一定数いる。そして作っていないと言われたら、何も言いようがない。今の時点で作っていない人の理由は様々あるかもしれないが、「なんとなく嫌だから」という単純な理由かもしれない。
その人たちを作る気にさせるのは、かなり無理がある。私の立場しか考えなければ、いっそのことこのカードを使う義務にしてほしいぐらいである。
数ヶ月後には薬局における利用率は、国が定めた目標値において60%、その5ヶ月後には70%と引き上げられていく。つまり、すでにマイナンバーカードを持っている人は、ほぼ100%の確率で薬局に持参しなければならなくなるということだ。
私自身、マイナンバーカードの便利さは実感している。たとえば、息子の高校授業料の無償化に伴って私の収入や税の納付証明書が必要になった際も、コンビニで数分で出力できた。また、パスポートの新規申請もオンラインでスムーズに進められるようだ。結構便利なカードである。
そしてこの流れは、マイナンバーカードだけにとどまらない。今後、全国レベルで導入が進められていく「電子カルテ情報共有サービス」との連携も視野に入る。薬局におけるマイナンバーカードの読み取りは、単なる保険証確認の枠を超え、患者の医療情報に基づいた、より的確な服薬指導や副作用防止、重複投薬の回避へとつながる仕組みとなっていく。
調剤薬局も、従来の“薬を渡す場所”ではなく、“医療情報を共有し、支える場所”へと変わっていかなければならない。私はその変化を前向きに受け止め、薬局の未来を一歩ずつ切り拓いていきたいと考えている。


