徳之島にいると、本州で暮らしていた頃のようなはっきりとした季節感がない。ふと、今が何の季節なのか分からなくなることが多い。
というのも、一年中が夏のような感覚だからである。
花が絶えることなく咲いている。ハイビスカスは咲いている数に多少の差はあるものの、ほとんど一年を通して咲き続けているように見える。

観葉植物としてよく目にするクロトンも、いつでも鮮やかな色彩で目を楽しませてくれる。薬局の駐車場の横には、朝顔のような形をした花が群れ咲いている。
オレンジ色の花は、おそらく野萱草ではないかと思う。


その花に、黒いアゲハ蝶が蜜を吸いに来る姿をよく見かける。花だけではない。蝶や蝉の姿も季節を問わず目にすることができる。
木の幹をじっと見ていると、クワガタがとまっていることもある。
そんな、島では当たり前のように見られる光景が、私にとっては何より心を穏やかにしてくれる。花が咲き、蝶が舞い、蝉が鳴き、クワガタが木陰で息づく。
その静かな循環が、これからもずっと続いていてほしいと願う。


