日経新聞には以前から、実証試験が行われてきたお薬の調剤外部委託や医師偏在対策についての記事が掲載されていた。
医療は少しずつ変化しているが、誰が一番得をするのだろうかと考えさせられる。新聞に書かれている変化の理由を見ていると、単なる「変えるための理由」に過ぎない場合が多いように感じる。
しかし、変化が進むと、隠れていた問題や構造が大きく変わり、目に見える形で浮かび上がってくることがある。年末に様々な議論や報道が出てくる中で、こうした変化の流れに恐ろしさを感じる。何も知らないまま、時間だけが過ぎていくのが最も怖い。
自分が働いている薬局の中でも、小さな変化はたくさん起きている。12月の変化として挙げられるのは、患者がマイナンバーカードを持参し、その了解を得ることで、他科で処方されている薬の内容を薬歴管理のパソコンで直接確認できるようになったことだ。これは非常に便利で、良い取り組みだと感じる。
ちなみに、11月時点でマイナンバーカードの交付率は全国で76%程度に達している。数年後には紙の処方箋が電子処方箋へと切り替わり、マイナンバーカードを使って他科の薬情報と同様にデジタルで処方箋を受け付けるようになるだろう。その時、世の中はどのように変わるのだろうか。
新聞で取り上げられていた調剤外部委託などの政策とも絡み合い、大きな変化が生じるだろう。その変化の結果、現在の薬局が存続できるのかどうかは不安である。大手の薬局チェーンは資金力があり、将来に向けて着実に準備を進めているが、小規模な薬局がどう対応するかは課題だ。
マイナンバーカードは一見、家の鍵のような役割を果たしているだけに思えるが、その先にある医療の合理化や効率化を想像しなければならない。とはいえ、そうした未来を想像するのは正直気が重い。