医療ビルと言われる施設が世の中には数多く存在する。よくあるのが、1階に薬局があり、2階や3階には小児科、皮膚科、消化器内科など、さまざまな診療科が入っているケースである。
患者さんにとっては、一つのビルに複数の診療科が集まっていることで「このビルに行けば何とかなる」と安心感を持つことができる点が魅力だ。
一方で、離島などの医療環境はどうだろうか。島の医療事情では、すべての専門科を揃えるのは現実的に非常に難しい。そのため、薬局の中にバーチャルな医療機関を存在させ、医療ビルのような役割を果たすことはできないだろうかと考えた。
具体的には、専門医療機関への搬送が必要になる前に、遠隔診療を活用する仕組みが作れないだろうか。いっそのこと、薬局の前に医療機関が一切存在せず、薬局の中に遠隔診療専門のブースを設ける形を想像した。
例えば、薬局内には薬を受け取るために待機している患者さんと、遠隔診療を受けるために来院する患者さんが共存する形だ。薬を受け取るカウンターがあるだけでなく、遠隔診療用の個室が複数設けられており、各部屋には看護師が待機して患者さんをサポートする。
遠隔診療が終了すれば、医師から電子処方箋が発行され、そのまま同じ薬局で薬を受け取って帰ることができる。患者さんにとっても、薬局と診療が一体化していることで、負担が大きく軽減されるのではないだろうか。
こうした仕組みが実現すれば、離島などの医療資源が限られた地域でも、専門性の高い医療サービスを提供できる可能性が広がる。さらには、地域医療の効率化や患者さんの利便性向上にもつながるだろう。
もちろん課題は多いが、遠隔診療と薬局の融合が進めば、医療の新しい形が実現できるのではないかと思う。こうした取り組みが離島医療や地域医療のモデルケースとなり、広がっていけば素晴らしい未来が開けるのではないだろうか。
勝手なことばかり考えた。