笑顔がつなぐ島の暮らし

徳之島days

薬局の仕事を終えて家に帰る前に、いつもスーパーに立ち寄るようにしている。徳之島には、例えばACOOP、いわゆる農協系のスーパーや個人商店などが存在する。

ただ、鹿児島市内のスーパーの営業時間なら夜9時や10時まで開いているのが一般的であるが、徳之島ではそういうわけにはいかない。島のスーパーは、夕方7時半には閉まってしまうのである。

そのため、意外と間に合わないこともある。毎日買い物をするわけではないが、できるだけ立ち寄り、少しでも何かを買うようにしている。理由は、買い物をすることだけでなく、人と話すことで元気をもらえるからである。

スーパーでは、レジの店員さんと話すことが多い。また、居酒屋やラーメン屋などに寄る場合でも、そこの店主と大した話ではなくても少し言葉を交わすだけで嬉しいものである。それが、疲れた体にまた力を与えてくれる。

昨日、薬局にご来店されたご高齢の女性について思い出した。その方は90歳くらいであったが、お薬をお渡しする際、ソファーに腰掛けた状態で何気ないお話をした。必ずニコッと笑顔を見せることを心がけているが、そのときも同じであった。

薬の話ももちろん重要であるが、私は世間話もするようにしている。その女性とは大した話をしたわけではなかったが、薬局で販売している種を3個も買っていただいた。後になって考えると、その女性は種そのものが特別良いと思ったのではなく、私との会話で気分が良くなったから買ってくださったのではないかと感じた。

また、最近では保健所の薬務課の職員の方が来店された。献血の告知ポスターを貼ってほしいとのことであったので、快く貼らせていただいた。その後、たまたまその職員の方がコロナ検査キットを買いに来られた。ポスターを貼っておいたことが嬉しかったのか、にっこりとした笑顔で買って行かれたのが印象的であった。

自分では気づきにくいが、意識してニコッと笑って話すことで、相手も気持ち良くなるのかもしれない。私の少しの笑顔や声かけが、思った以上に相手の心に届いているのだと実感した。

徳之島には一人住まいの方が多い。もし私のちょっとした声かけで元気が出るのであれば、時間の許す限り惜しまず話してあげたいと思っている。

ただ、申し訳なくも後になって気づいたことがある。そのご高齢の女性と一緒に写真を撮っておくべきだったと。きっと良い思い出になっただろう。