処方箋を介して販売される医療用医薬品と、市販薬として販売される薬の中には、同一の成分を含むものが存在する。これらは新聞紙上では「OTC類似薬」として紹介されている。
その医療用医薬品がすべて保険適用外となれば、国の薬剤費の抑制につながるという意見が紙面では多く見受けられる。
保険適用から外すことは制度上は可能かもしれない。しかし、それによって個人の医療費負担は大幅に増加する。また、その影響として、想定外の事態が起こる可能性も否定できない。
医療用医薬品を一品目ずつ保険適用外にすることを議論する際、果たして本当に患者の立場に立って検討されているのだろうか。そうした配慮が欠けているように感じられる。
経済的に余裕のある人にとっては、大きな問題ではないかもしれない。しかし、今の年金生活を送る高齢者層や、一部の高収入層を含めても、すべての国民にとって負担が重くのしかかる可能性がある。収入が高ければ高いなりに、相応の負担が発生する。
つまり、結果としてほぼすべての国民が困難な状況に直面することになりかねない。
このような問題意識は、今回東京で開催されたセミナーに参加したことをきっかけに、強く意識するようになった。
果たして今後、医療制度はどうなっていくのだろうか。先行きはまったく見えない。