徳之島に土曜日、島外からお客さんがふたり訪れた。夜の食事会を主軸に、島の食材をできるだけ手を加えず、そのままの力で味わっていただくことが今回のコンセプトである。
朝一番の便で鹿児島空港を飛び立ち、無事に徳之島空港へ着陸した。東京と愛媛からのお客さんである。ここ一週間、空模様が不安定であっただけに、青空のもと着陸できたことに安堵した。
お2人とも薬剤師である。
私は昼までは通常通り薬局業務を優先した。午前中は別行動である。業務をやや早めに切り上げ、昼食は島の食堂へ向かった。豚足や刺身を中心とした定食を三人で囲んだ。素朴で力強い味わいである。余計な装飾はなく、素材そのものの旨みが前面に出る。島の食堂らしい、実直な一皿であった。
その後、見学の許可をいただいていた病院薬局を訪問した。調剤機器や設備を丁寧に見せていただいた。都会にも存在する機器ではあるが、離島という環境の中でどのように整備され、どのように運用されているのかを実際に目にできたことは大きな学びである。限られた予算、限られた物流の中で最善を尽くす姿勢は、現場の覚悟そのものであった。
外来、在宅、それぞれの業務の実情も教えていただいた。すべてが揃うわけではない。だからこそ、工夫と連携が生まれる。その姿は、調剤薬局との役割分担や協働の可能性を改めて考えさせるものであった。今後こちらからも具体的な提案をしていきたいと思う。
夕方までお二人には宿泊施設でゆっくりしていただき、19時から夕食である。
亀津の集落にある「まつば」。
まずは刺身の盛り合わせ。島の伊勢海老が堂々と鎮座する。殻は艶やかで、身は透き通るように白い。口に運ぶと、ぷりっとした弾力のあとに甘みが広がる。海そのものを噛んでいるような感覚である。噛むほどに旨みが滲み出る。決して派手ではないが、静かな自信に満ちた味わいであった。
周囲には地魚の刺身。脂の乗った身はやわらかく、しかし輪郭ははっきりしている。わさびを少し添えるだけで十分である。貝類もまた磯の香りをまとい、酒を呼ぶ一皿であった。
酒は黒糖焼酎「奄美の匠」である。水割りにする。黒糖のほのかな甘みと香りが立ち上がり、刺身の旨みと静かに重なる。主張しすぎず、料理を引き立てる酒である。杯を重ねるごとに会話も滑らかになる。
最後はご飯もので締める。満腹である。しかし不思議と重たさはない。素材の力で満たされるとはこういうことかと思う。


