冬といえば、こたつにみかん――と言いたいところだが、徳之島では「タンカン」である。
2月になると、この島では黄金色の実りが一斉に収穫の時期を迎える。
訪問先の患者さんのご自宅で栽培されていることも多く、「売り物にはならないからね」と言いながら、自宅用のタンカンを少しばかりお裾分けしてくださる。
その“少しばかり”が、だいたい少しではないのが島らしいところである。
このタンカンがまた、最高に美味しい。
皮は手強いので、包丁でさっと切って食べることが多い。口に入れると、濃厚な甘さが広がり、そのあとにほんの少しの酸味が追いかけてくる。このバランスが実に好みで、ついもう一切れ、と手が伸びる。
最近は患者さんや知り合いの方が、なぜか示し合わせたかのように薬局へタンカンを持ってきてくださる。
気がつけば、薬局の一角が“臨時タンカン集積所”のような様相を呈している。
正直に言えば、もう食べきれないのではないかと思う量である。
――なのだが、不思議なことに、食べているうちにいつの間にか無くなっている。
結局、食べているのである。
美味しいから仕方がない。徳之島の冬は、こうしてビタミンと優しさでできているのだと思う。

